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守り続けてくれたもの



昨日――、僕にとって大切なお店が29年の歴史に幕を閉じました。


帰り、夜中の1時くらいでしょうか、その店に寄りました。


まだまだたくさんの常連さん達が、名残を惜しむように賑やかに飲んでらっしゃいました。


彼は、入り口に佇んだ僕に気付き、入って来いと手招きしました。

けれど、その賑やかさは僕の気分にはそぐわなかった。
もともと、店の中へ入って座るつもりじゃなかったから、僕が彼を手招きしました。

お客様達は僕に気付いていなかったから。


入り口まで来てくれた彼に、「お疲れ様でした」 と言い、彼と握手しました。

それだけでよかった。

それだけがよかった。


僕の想いを、原稿用紙4枚にまとめました。

ずいぶん長いから、興味があれば読んでください。
面倒くさかったら、読まなくっても全然いいです。

読んで欲しいって思って書いたものじゃないけど、僕を助けてくれたり、応援してくれたりする幾人かの人たちに対して、これは発表しなきゃって思った。

何故かそう思ったので。




『 守り続けてくれたもの』

今年でまる24年、飲食店を営んでいる。16坪の、どうってことない食堂・居酒屋である。
もちろん、僕なりのこだわりやポリシーは持ち合わせている。そういったものが何ひとつなければ、この厳しい時代、細々ながらも四半世紀続けることは難しいと、ささやかな自負はある。
けれど僕が、何度もへこたれそうになりながら持ちこたえて来れたのは、ある店とそこの主人の存在があったからだ。
僕はいつも心のどこかでその店を支えにし、その人を支えにしていた。「あいつも懸命に持ちこたえている」
その店が、もうすぐ無くなる。

今から29年前、僕と彼は24歳の若さで一軒の店を開いた。きちんとしたデータに基づく勝算なんて何もなかったけれど、やる気と自信に満ち溢れていた。
きっとそれが若さというものなんだろう。
若造2人が始めた店はあっという間に同じく若造たちに受け入れられた。
順調過ぎる船出だった。

けれど、無我夢中の2、3年が過ぎた辺りから、本来僕たちの間にあったのであろう小さな考え方の違いが、少しずつあぶり出されてくる。
お互いがお互いの価値観に疑問を抱く場面ができてくる。ロックバンドが、音楽性や方向性の違いからほころび始めるように、僕たちも少しずつ、お互いの価値観に対して?を感じることが増えてくるのだった。
どちらが正しくて、どちらが間違っているということじゃなかった。どちらも正しくてどちらも間違っていた。きっと、自分の価値観よりも相手のそれを尊重するには、僕たちはあまりにも若すぎたのだ。今ならはっきりとそう言える。

5年が過ぎた頃には、僕たちはもうお互いに、相手を見つめることから逃げてしまっていた。お客様の中でも、僕が気持ちいい人と彼のように生きたいと感じる人とが別れ、それぞれに妙な取り巻きのようなものが生まれつつあった。
けれど僕たちは、本当は、それぞれが言いようのない孤独の中にいたのだと思う。

僕が音をあげた。開店した頃には想像もしなかった息苦しさに耐えられなくて。
僕の結婚を機に、僕たちは解散し、僕は妻と今の店をスタートさせた。

彼は――2人で希望に満ちて始めた店を1人で続けた。恨み言も、理不尽も、孤独もすべて飲み込み、黙々と「僕たちの店」を守り続けた。
そこは僕にとって、紛れもない「始まり」だった。 妻と始めた今の店を切り盛りしながらも、その意識は変わることはなかった。
僕にとっての「始まり」は、ここじゃなく、いつだってあそこだった。

電話が鳴ったのは、お客様がすべて引け、後片付けをしているときだった。 「おまえと2人で始めた店やからな、おまえにだけはちゃんと言うとかな、って思ってな……」
来月いっぱいで閉める。 理由はいろいろある。
疲れた。

29年の歴史に幕を閉じる。23年間は彼1人で守って来てくれた。
僕たちの店を1人で守って来てくれた。
僕の「始まり」を守って来てくれた。

いつも心の支えにしていた。

心の中、自分の気持ちをあちこち探した。けれど、どこをひっくり返しても「感謝」――、この二文字しか見つからない。



風景 松田正弘
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無題

さみしいけど、K街。楽しい思い出いっぱいです。
初めて行った時のJ野さんと松田さんの若くて、元気で、やさしそうな顔。
思い出します。
絶妙のコンビでしたね。まわりの人もいい人ばっかりでした。
おおげさですが、いまある人生もけっこうK街から始まった感じです。
ぼくも、感謝しています。
                         あしはる。
  • あしはる
  • 2011/06/30(Thu)00:31:04
  • 編集

Re:無題

うれしいうれしい言葉をありがとう。

    あそこで財産いっぱいつくりました。

 あしはるクンや植ちゃんやえんどうや……。

   ずっとつながっている。  ありがとう!
  • 2011/06/30 03:44

@あしはるに同感

松田さんの文章は飾りっけなく、
素直にすーっと入ってきて思いが凄く伝わってくる

ほんとに毎日毎日、笑ったり、泣いたり、怒ったり、ベロベロになったり
あの頃の日常はいつも K街と J野さんと 松田さんと 一緒だった。

私もあそこから始まってる
大切な大切な人たちといっぱい出会えました。
ありがとう=K街

無くなってしまうのはさみしいけど
ぜったい忘れないよ


  • あくび
  • 2011/06/30(Thu)11:35:55
  • 編集

Re:@あしはるに同感

コメントありがとう!

   みんなかけがえのない人たち……。

   知らないままじゃなくてよかった、って人たちばかり……。

    出会いに感謝だね。
  • 2011/07/02 10:30

無題

K街は私が少し大人になった場所でした。

あそこから色んな事がスタートした。

苦くもあり、幸せでもあり。

たくさんの人が色んな思いで、あの場所にいたんでしょうね。
私も感謝してます。

ありがとうございました。
  • maki
  • 2011/07/03(Sun)02:53:52
  • 編集

Re:無題


うんうん、いろいろあったね。

  ホントにいろいろあった……。 

  makiちゃんには幸せになってほしい、って心から思ってる。
  • 2011/07/03 03:27

無題

すこし、たいそうな言い方になりますが、
私にとってもK街は「聖地」であり、はじまりの場所です。

三人で悩んだ末に選んだカウンターの椅子や、テーブル席の折りたたみのベンチは、
自分らしさを表現するきっかけになりました。

その後のG気や、Tップマストの内装は思い入れたっぷりです。

はじまりである場所での「ラストワルツ」が思い出の1曲になりました。

今もつながっていることに感謝です。ありがとう、K街。

Re:無題


コメント有難うございます!

  ホントに楽しい店創りだった。

  はっぴいえんどがはじまりでした。

  出会いに感謝です。。。
  • 2011/07/05 02:06

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